この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。
近所を散歩していると
ときどき松ぼっくりを見かけるんですよね。
松の枝にできる、あの松ぼっくり。
ゴツゴツしたやつね。
で、あるとき不思議に思ったのですよ。
松ぼっくりっていつできるのか?
というのは、
気のせいかと思っていたんだけど
どうやら年がら年中あるようなのです。
松ぼっくりって秋にできる
イメージだったんだけど。
それが春でも夏でも、
ときどきそのへんに落ちている。
嵐のような風が去ったあとに
雄花や、まだ青く若い松ぼっくりが
落ちていたことがあったんだけど
それに混じってあの茶色くて硬そうな
松ぼっくりもあったりするわけです。
松ぼっくりは一年中ある
ほとんどの植物は毎年、
同じ成長を繰り返しているものだと
何気に思っていました。
種類が違えども基本的には同じように
木も1年のサイクルで動いているものだと。
花が咲き花粉を飛ばし、
実がなって種子を落とす。
松も基本的には同じようなのですが、
ひとつ違っていたことがありました。
それは、松ぼっくりができるまでには
時間がかかるということ。
松には雌花と雄花がある。
雄花が花粉を出し、
雌花に受粉して成長すると
松ぼっくりができる。
雄花は役割を終えると枝から離れ落ちる。
これは毎年の春。
松ぼっくりはそのまま成長を続けるが、
種類によって成熟するまでに
1年から2年程度はかかるようです。
なので同じ木の同じ時期に
花と未熟な松ぼっくり、
成熟した松ぼっくりが同居している
ということがあるのです。
松ぼっくりが成長して
その役割を終えると落下しますが、
すぐに枝から外れて落ちるというわけでも
ないようで…
いつどのタイミングで落ちるのかは
松ぼっくり次第、風次第?ということです。
なので一年中、
松には松ぼっくりが付いているし、
風が吹けば松ぼっくりが落ちたりしているのです。
松ぼっくりのしくみ
松ぼっくりは松の果実のようなもの。
果物のように子房はないが、
中には種子が入っている。
松ぼっくりの種子は、あの茶色いヒダヒダの
間に収まっているのです。
茶色のヒダは、鱗片(りんぺん)あるいは
種鱗(しゅりん)といいます。
乾燥した日には鱗片が開くようになっていて、
種を風に乗せて遠くまで飛ばします。
湿気の多い雨の日には、種が出てしまわない
ように鱗片を閉じて守るのです。
ただしこのしくみは松の種類にもよります。
湿気の具合で鱗片が開閉し種を飛ばすのは
アカマツやクロマツなど。
動物に捕食されることで種をまく種類の
松もありますが、この場合の松ぼっくりの
鱗片は開閉せず、そのまま下に落ちるです。
[関連記事:松の実]
松ぼっくりの呼び名
「松ぼっくり」は「松かさ」ともいいます。
どちらかというと松かさのほうが正式名のようです。
まつかさは、松かさ、松笠、松傘、松毬とも
書き、松毬は「ちちり」とか「ちちりん」とも読む。
松ぼっくりという呼び名は、
「松陰嚢(まつふぐり)」が訛って
呼ばれるようになったとか。
(ふぐりというのは袋のこと)
一般的には「まつぼっくり」と呼ばれること
のほうが多いようですね。
松ぼっくり以外にも似たようものが
ありますが、松ぼっくりのような果実を
総称して「球果(きゅうか)」といいます。
球果は針葉樹にできるので、
スギやヒノキにも球果ができる。
スギには小さくて丸いトゲトゲとした球果が。
ヒノキには丸い実が割れたような形の球果ができます。
ネット上で見ていると便宜上のためか、
これらをスギボックリとかヒノキボックリ
という表現をされているのを見かけますが、
これはどうやら正式な呼び名ではないもよう。
スギやヒノキの球果と松ぼっくりとは
構造も外見も異なるため、
松ぼっくりと同じように呼ぶのは
ふさわしくないということがあるようです。
まぁ、専門的なことはともかく…
分かりやすいっちゃわかりやすい。
いろいろな形の球果があるので、
針葉樹を見かけたら観察してみるといいでしょう。
松ぼっくりの種類
松ぼっくりはいろいろな形をしています。
松の種類によってももちろん違うのですが、
個体差によっても違いがあります。
大きいもの、小さいもの。
斜めになっているもの、
つぶれたようになっているもの。
均整の取れた形のいいもの。
種類の違いでは、クロマツとアカマツが
どっしりとした形をしていて鱗片が厚い。
全国でよく見る松ぼっくりの定番?でしょうか。
エゾマツの松ぼっくりは全体に細長い。
カラマツの松ぼっくりは小さくカサが薄い。
他には、まるで花のような松ぼっくりも
あるようです。
それはシダーローズと呼ばれるもの。
ヒマラヤスギの松ぼっくりで、「スギ」と
名が付いていますがじつはマツ科。
この松ぼっくりはバラバラになって
種を風に飛ばしますが、
先端部分は花のように見えるのです。
シダーローズについて詳しく書いている
サイトさんがありましたので、
リンクを貼っておきます。
[虫はともだち:シダーローズを求めてヒマラヤスギを探す]