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夜、布団に入り
ウトウトと寝入ろうとしたそのときに…
ぷぅ~~~ん。
という不快な音。
誰しも経験があることでしょう。
その音の持ち主はもちろん、
蚊。
蚊が耳のそばへ飛んでくる音ですね。
あの音、あの不快で煩わしい音。
蚊は人の呼気である
二酸化炭素によってくる。
だから顔の近くにやってきて
耳に近づいてくるために
よけいに音が聞こえやすいのです。
寝落ちかけるその瞬間に
ぷぅ~~~ん。
って、イラっとしてしまいますよね。
追い払えども追い払えども
何度となく近づいてくる。
あの音の正体はいったいなんなのでしょう。
蚊の音
「蚊の鳴くような声」
という表現がありますよね。
かすかな声、弱々しい声のたとえですが、
しかし蚊の音というのはけっこう力強いのです。
蚊の音の正体は鳴き声などではなく、
ハネ(翅)の音。
飛ぶときに出る音ですね。
蚊は昆虫ですが、双翅目(ハエ目)という分類。
その名前が示す通り、左右一対のハネを持ち、
前がわのハネ2枚だけで飛ぶのです。
後ろがわのハネ2枚は退化して、
平均棍(へいきんこん)というバランスを
取る器官になっています。
そのために、4枚のハネで飛ぶ昆虫よりも
羽ばたく回数が多く、高音に聞こえるのです。
蚊は身体が小さいので細い音に聞こえますが、
空中を飛ぶための羽ばたきはけっして弱々しい
ものではなく、しっかりとした力強いもののはず。
人間は度重なる吸血の記憶から、あるいは
病気を媒介するという嫌悪感や恐怖から、
この音を毛嫌いするようになるのではないか
ということです。
蚊の音→刺される→痒い→不快(→病気)
これが繰り返されるわけですからね~。
パブロフの犬的に「音→不快」と
直結するくらいに刷り込まれていても
おかしくはないですよね。
[関連記事:蚊に刺されやすい人の条件]
蚊の羽ばたき周波数
昆虫が羽ばたく回数を表す
「羽ばたき周波数」というものがあります。
1秒間に羽ばたく回数をHz(ヘルツ)で表す
もので、昆虫の羽ばたき運動の指標となる
ものだとか。
蚊の羽ばたき周波数は
350~600Hz(ヘルツ)くらい。
人間が聞こえる音の範囲は
20Hz~20,000Hz。
数字が少ないほど音は低く、
数字が多いほど音が高く聞こえる。
たとえば蝶の羽ばたき周波数は
10Hz程度なので人の耳には聞こえない。
蚊の羽ばたき音は、
人間にちょうどよく聞こえる範囲で
不快に感じる音なのだそうです。
そんな人間にとっては不快な音でも、
蚊にとっては大事な音。
羽ばたき音は雌が雄を引きつける音である
とともに、交尾のときには雄と雌が調和して
1200回/秒も羽ばたくのだとか。
よけい耳にきそうですよね…。
(でも現場は野外のハズなので大丈夫?)
音をたてない蚊?
蚊の羽ばたき音は蚊にとって必須。
しかしながら近年は、
音をたてない蚊もいるのだとか?
私も最近、いつの間にか蚊に刺されていたり、
ときどきふっと何かが飛んでいるように
見えるけれど無音…
ということがありました。
ただこの話、
単純に耳に聞こえていないだけでは?
という場合もあります。
若者の耳には聞こえるけど
歳を取ると聞こえない音域がある、
というやつですね。
[関連記事:音が聞こえる範囲]
歳を取ると、高い音ほど聞こえなくなります。
低い音もある程度は聞こえにくくなるようです。
さらに調べてみたところ、
人の耳が最も聞こえやすい音の範囲は
2,000Hz~5,000Hz。
この範囲以外の音は、音の大きさが倍以上
でないと聞き取りにくくなるのです。
蚊の羽ばたき音は350~600Hzくらい。
耳に異常がない限り聞こえる範囲内ではあり
ますが、耳の聞こえが衰えている場合には、
ある程度の音量が必要でしょう。
つまり、単に蚊が小さいから聞こえないだけ
なのではないか。
その可能性は大いにありますよね。
蚊は身体が小さいのだから音も小さい。
なので少し離れていると羽ばたき音は聞こえない。
蚊が近づいてくると音も大きくなるため、
聞き取りやすくなる。
音の大きさによるということならば、
やはり加齢による耳の聞こえが…
ということなのですかね~。
でもやっぱり、音をたてない蚊はいるかも?
ということを追求されていた
動物行動学者さんがいらっしゃいました。
…が、あと一歩?のいいところで答えが…
続きがない(見つけられない?)のですけど
興味のある方はリンクからどうぞ~。
[ほっと行動学:羽音を立てない蚊]