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セミの寿命は一週間というけれど、本当のところはもっと長い

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

セミの寿命は意外と長い
毎年、
気温が上って暑くなってくると

いよいよ夏がくるなぁ…と、
なんだか感慨深く思います。

しかし
本格的に夏なんだなぁ~と実感するのは、
セミの声が聞こえてきたとき。

 

毎年セミの第一声を聞くと、

今年は早いな…とか
ようやく夏だなぁ…と感じます。

それとともに思い起こされるのが、

夏休みのワクワク感。

 

まぁ夏休みって、一般の会社員には
あまり関係ないのですけど…

それでも「夏=セミの鳴き声」
に加えて「夏=夏休み」という感覚が

ずっと感覚にインプットされたまま
身に染み付いているようです。

[関連記事:ラジオ体操はいつから]

 

そんなセミについて、
「セミは一週間しか生きられない」

という説が昔から当たり前のように
いわれているのですが…

実はこれ、正しくないのですよね。

セミという生き物の寿命

一般的に「セミ」と認識されているのは、
成虫になってからの状態のセミ。

セミはその前に幼虫期があるのですが、
人の目に着くのはたいてい
成虫になってからですからね。

セミは成虫よりも、
幼虫の姿で生きている期間が長いのです。

セミが成虫になるまで

セミは卵で生まれて1年近くを経てから
孵化し、幼虫になる。

それから木の汁を吸いながら徐々に成長し、
数年経ってようやく羽化、成虫になる。

セミの幼虫期の年数

セミの幼虫期の期間は
種類によっても異なります。

たとえば「ジリジリ」と鳴くアブラゼミ。

土の中で生きる幼虫の期間は3~5年。
ヒグラシも同じくらい。

ミンミンゼミは2~4年。
ニイニイゼミ・クマゼミは4~5年。
ツクツクボウシは1~2年。

年数に幅があるのは、
それぞれ個体によっても違いがあるから。

長生きのセミ

アメリカではもっと長い期間を
幼虫で過ごすセミがいます。

これらは周期ゼミ(素数ゼミ)と呼ばれる
13年セミと17年セミ。

周期ゼミはきっちり13年、17年の間を
土の中で過ごし、時が来ると一斉に
外に出てきて羽化、成虫になる。

これは集団発生を目的とするセミらしい。

 

たまたま今年がその周期で、
アメリカでは数十億匹が
大発生しているそうです。

これもセミを捕食する天敵が多いために、
自然と選んだ手段なのでしょう。

セミの成虫期間は1週間?ではない

セミは幼虫の時期が長いのですが、
なぜ成虫になってからは短いのでしょう。

 

セミは土の中で生きる幼虫時代、
木の根の汁から栄養を得て成長する。

この栄養が少ないために、成長に数年
という長い月日がかかるようです。

それに対して、成虫になってからの目的は
子孫を残すこと。

 

オスはひらすら鳴いてメスを引きつける。

メスはその鳴き声に応じます。

そして交尾し、メスが卵を生む。

 

この成虫の期間が一週間といわれて
いるのですが、

2000年代頃から、
実際はひと月程度ではないか
ということがわかってきているようです。

 

多くは鳥などの天敵に捕食されるなどし、
寿命を全うする前に命を落とすものも多い。

また、人が捕まえてもすぐに弱ってしまい
飼うことが難しいために、

寿命一週間説が広まっているのだ
ということです。

成虫の生存期間を確認した調査

こんな調査記録がありました。

 

◇ 2005年の調査

[大阪市立自然史博物館:クマゼミはどこまで飛ぶか?

この調査は、
クマゼミの移動距離を調べるものでしたが、
結果として、長く生きたセミが
確認されました。

  • オスで最長20日
  • メスで最長30日

 

◇ 2016年の調査

この調査は高校生が個人で行ったもの。

2019年5月に広島大学で行われた
「中四国地区三学会合同大会」で報告され、
高校生の部で最優秀賞を受賞されました。

当時、新聞で取り上げられましたが、
ネット上では無料公開での詳細記事が
すでにありませんでしたので、
集めた情報をかいつまんで記載します。

  • 調査期間:2016年7月中旬から9月中旬
  • 調査場所:笠松市内の住宅地や雑木林など
  • 調査対象:アブラゼミ、クマゼミ、ツクツクボウシ

調査方法:
約863匹のセミに
油性ペンでマーキングして解放。
後日15匹を再確保、さらに4匹を再々確保。

結果:

  • アブラゼミ、クマゼミ、ツクツクボウシの
    三種が10日以上の生存を確認
  • 最長生存記録
    アブラゼミ 32日間
    クマゼミ 15日間
    ツクツクボウシ 26日間

ということでセミの成虫は
ひと月くらいは生きる、
ということが立証されているのです。

セミは意外と長寿だった

セミの種類にもよりますが、
卵で生まれてから成虫時代までを合わせると
セミは意外と寿命が長いものだといえます。

しかしそれは成虫になって寿命を全うした、
ほんの一部のセミの話。

 

ほとんどのセミは
幼虫時代に天敵に捕食されたり、
菌類に寄生されてしまう。

ようやく成虫になれたとしても、
やはりそこには天敵がいるのです。

 

そう思うと、地上に出てきて
ここぞとばかりに鳴いているセミは、

ここまで生き延びた証に鳴いている
かのように思えるのです。

…というのは人間の勝手な推察なのですが…

しかしそれはセミだけではないのでしょう。

ほかの生物も、ほとんどが日々を懸命に
生きているのでしょうね。

 

余談ですが…
セミの鳴き声にはそれぞれ特徴があります。

個別に聞き分けてみるのも面白いですよ。

夏場に聞いてると、
少々暑苦しい気がしますけど…ね。

[KoKaNet子供の化学のWebサイト: いろいろなセミの鳴き声を聞こう

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