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2023年1月開始のドラマ
TBSテレビ「100万回言えばよかった」
第9話「キレイな魂」の感想です。
あらすじと感想にはネタバレを含んでいます。
苦手な方はご注意を~。
100万回言えばよかった第9話のあらすじ
2023年3月5日 午前2時
ドアに目張りがされた車の中で練炭が焚かれていた。
中には田中希也(永島敬三)と尾崎莉桜(香里奈)。
外には池澤英介(荒川良々)が居た。
池澤は背後に、広田勝(春風亭昇太)の姿が見えて、驚き怯えていた。
2023年3月7日
広田勝の家に池澤と悠衣(井上真央)がいる。
勝の幽霊が見える池澤は、幽霊はいると言い、
そんな池澤に悠衣は、直木が居るから寂しくないという。
直木(佐藤健)と魚住(松山ケンイチ)が勝の家に到着した。
魚住に裏の雨戸から入れると教えて、直木は先に家に入る。
直木は何て言っているのか気にする池澤に、悠衣は、直木も知りたいと言っていると応えた。
直木は静電気を起こして、悠衣に存在を伝えた。
《2023年1月13日 午後0時40分》
直木は洋食屋ハチドリで子ども食堂の準備をしながら、池澤に尾崎莉桜と会う話をしていた。
何か事情がありそうだと話す直木に、池澤はソワソワしながら待ち合わせの時間と場所を聞いた。
食事の後、強烈な眠気に襲われた直木は、カウンターに突っ伏して眠ってしまった。
直木の食事に、池澤は薬を入れたのだ。
《午後3時35分》
池澤は先に莉桜に会い、昔の話はしないでくれと頼むつもりでいたが、待ち合わせ場所に莉桜は居ない。
《午後3時45分》
莉桜は洋食屋ハチドリに来た。
寝ている直木に声をかけて起こすが、直木の反応から何か飲まされたと気付いた莉桜は、ここは危ないから別の場所で話したいという。
莉桜は池澤を怖がっていた。
直木は莉桜から、自分が昔やっていたことを聞いたんだよね?と、池澤は見えない幽霊の直木に語りかける。
《午後4時00分》
別の場所で直木は莉桜から事情を聞いた。
金のこと、涼香と希也のこと。
千代がまた仕事を始めていたこと。
武藤千代は自分では絶対に手を出さない。
仕事をさせるときも後始末も、動くのはいつも池澤英介で、恐ろしい人だから離れないと駄目だと莉桜は話した。
《午後4時22分》
直木は池澤に電話すると、直木を勝の家に呼び出した。
池澤は、幽霊になって見えない直木に、なんで電話してきたのかと責めた。
直木は、自分が見てきた池澤は違うから、と言うが…本人には聞こえない。
捜査本部では、莉桜の意識が回復したと報告があり、本部招集がかかった。
そして田島(少路勇介)の携帯に、魚住からメッセージが入る。
《午後5時50分》
勝の家で池澤は、20年前の話は莉桜の言ったとおりだという。
でも今は違う。
武藤千代(神野三鈴)とはあのときに手を切った。
またあの仕事がと思うと、腹は立つし胸も痛むが、涼香の事件は関係ないし、自分の罪は時効だ。
だから直木は知らなかったことにしてくれと池澤は頼む。
直木にとっては、傷ついている子どもを放っておけない池澤が、本当の池澤だと思っている。
今、仕事をさせられている子がいると知ったのなら、自分たちはこのままじゃ駄目でしょう、と直木は話す。
池澤はそういう子たちを1人でも救いたいと言いながら、その子たちには触れないでいようとしていることを直木は指摘する。
すると池澤は直木に同調したフリをし…
背後から直木を刺したのだ。
いい人間になりたかったという池澤に、
直木は、あなたはいい人だと言う。
自分は知ってると。
そんな直木を池澤は、再び刺した。
《午後6時》
柱時計の鐘が6度鳴った。
池澤と悠衣が対峙している今、
同じく6度鐘が鳴った。
直木は死に際の記憶を思い出した。
子供の頃の、悠衣と鉢植えの花の記憶。
悠衣の誕生日の夜、会う約束をしたこと。
行かなきゃ…と、直木は落ちた鉢植えの花を握った。
魚住は田島にメッセージを送る。
ごめんねと言いながら悠衣を襲おうとする池澤の前に、隠れて見ていた魚住が出てくると、
悠衣を人質に池澤は後ずさり、縁側から庭に出た。
外は激しい風と雷鳴。
魚住は逃げられないと池澤に告げる。
すると池澤はまた、勝の亡霊が見えて怯え出した。
離れた悠衣に池澤がドライバーを振り上げると、そこに直木が静電気を起こし、引き込まれるように雷が落ちた。
警察の応援が駆けつけ、池澤は捕まった。
縁側で消えかけている直木のもとに、魚住が悠衣を連れてきた。
魚住は直木に、自分に入るようにと促す。
躊躇する直木に、魚住は自ら直木の目をじっと見つめる。
魚住に直木が入ると、悠衣は最期に何を言えばいいのかわからない。
直木も悠衣に何か言おうとするが…言葉にならず、悠衣の頬に手を触れた。
悠衣は顔を見上げる…しかしそれはやはり魚住だ。
直木はごめん、悠衣、と言い消えていく。
悠衣はわかっている。
武藤千代は魚住の手によって逮捕された。
未成年者略取および、売春防止法違反。
高原涼香殺害、相馬悠衣殺人未遂については、田中希也の犯行と断定し被疑者死亡のまま書類送検。
田中希也の死亡については、池澤英介が犯行を自供、鳥野直木殺害についても認める供述をしている。
悠衣は病院にいる莉桜に会いに来た。
自分だけが生きているという莉桜に、無事でいることに罪はない、と直木が言っていたことを伝える。
悠衣は莉桜にずっと言いたかった。
守ってくれて有難う、と。
魚住は悠衣が気がかりだ。
直木が最期、悠衣に何も言わなかったんじゃないかと聞いた。
悠衣はあの時、向き合って思ったという。
やっぱり直木の目を見て、直木に触って、直木の声だからもらえるものがあると。
ちゃんとしたお別れなんてなく、
みんなこんな感じで生きていくのだ。
朝、悠衣は物音に気がつく。
キッチンを見ると、そこには直木が居た。
悠衣は突っ立っている。
直木は朝からハンバーグを二人分並べる。
これは夢?という悠衣に、
夢じゃない、と直木。
悠衣が手を伸ばすと、触れられる直木がいる。
第9回目はここまで。
100万回言えばよかった第9話の感想
今回は殆ど池澤の犯行の話だったね。
そして武藤千代は、意外なほど案外あっさり捕まった。
池澤の以前の罪は時効というけれど、それにしても…
時効を過ぎれば罪に問われないのもなんかね。
無かったことにはならないのに。
広田勝の亡霊に悩まされる池澤英介
広田勝の幽霊が視えると池澤は言っていたけど、これは池澤の良心が見せる亡霊なんだねきっと。
勝に対して後ろめたい、とても悪いことをしているという自分への責め。
良心の呵責だ。
池澤は過去に自分がやってきたこと後悔している。
池澤は直木を殺めた時、言い訳をしていた。
「世間は許してくれないよ。
過去がある限り駄目なんだよ。
どんなに後悔しても、償っても、20年経っても、俺は許してもらえないんだよ。」
池澤は誰に許してもらいたいのか。
過去の罪のことで、池澤は誰かに責められたことがあったのだろうか。
池澤は少なくとも、千代の仕事をやったことに対しては警察に捕まってはいない。
だから世間には知られていない。
その前に前科があったとしても、池澤は千代の仕事が一番重かっただろうから、そのことを後悔して、自分で自分を責めているんだろう。
池澤にとって、いい人の手本が勝だ。
池澤は広田勝のようになりたかった。
勝に顔向けできるよう、ずっと子どもたちのためにと頑張ってきた。
贖罪のつもりで。
でもいつからか勝の亡霊が見えるようになった。
少なくとも、池澤が悪いことをしているときに勝の亡霊は現れるようだから、きっと直木を殺めたあたりからじゃないのか。
池澤はずっと心の中に後悔と罪悪感を持っている。
そこへまた池澤は罪を犯した。
そんな自分を責める心が、勝の亡霊を生み出しているんだろう。
広田夫妻は本当に優しい人だった
広田夫妻は表裏がなく、本当に優しい人だったようだ。
池澤が、
「この人たち、何も考えてねえのな」
と思うほどに。
武藤千代のような恐ろしい優しさではなく、本当に優しい人が居るということを、
池澤は広田夫婦に会って知ったのだ。
だから池澤は勝のようになりたいと思ったのか。
それから勝の手伝いをしだしたのは、勝への憧れと、罪滅ぼしのつもりもあったのかもしれない。
直木は正しすぎて真っ直ぐすぎた
直木は正義感が強すぎた。
清く正しすぎた。
池澤を信じすぎた。
直木に見えていた池澤は、まさに子どもたちのために親身になって尽くしてくれる、温かい人だったのだろう。
だから池澤なら、昔のことを後悔している今の池澤なら、千代に利用されている子どもたちも助けるのじゃないかと…助けてほしいと思ったに違いない。
でもそれは、池澤を買いかぶりすぎたんだよね。
池澤はそこまで出来た人物ではなかった。
今被害に遭っている子どもたちより、自分の過去を隠すことを優先にした。
自分のことはもう時効だと言ったのも、もうずいぶん昔だし、自分はもう当時の自分とは違うということにしたかっただけじゃないのか。
本当に出来た人なら、もう時効だけど、自分で警察に申し出て、今、千代がやっていることを暴く証言者になるとでも言いそうだけど。
なかなかそこまで自分を捨てて、自分の過去を晒すということは難しいだろう。
罪が重ければ重いほど、社会的な地位が安定して世間に認められて、自他ともにいい人という目で見られている今を捨ててまで、池澤にはできないのだろう。
僕は終わりだという池澤に、直木はそんなことないと言い、そうだといいなと言う池澤。
でもきっと池澤は、世間はけっこう冷たいということを、子どもの頃から身をもって知っていたのだろうから、そんなに甘くはないと思っていたに違いない。
池澤を信じ、刺されてなお、あなたはいい人だと言う直木を、また刺した池澤。
自分をそこまで信じてくれる直木に、池澤は仇で返したのだ。
池澤は直木のことを、いいやつすぎて嫌になっちゃった、と言った。
やはり自分と比較するのだろうか。
真っ直ぐで汚点がない直木と。
手を汚し続けた自分と。
自分はいい人になりたいと言いながらも、
だけどおおやけに罪を償うことはしない。
過去を蒸し返されるのは困る。
過去を掘り起こされるのはイヤだった。
だから直木を手に掛けるというのはあまりにも短絡的すぎるけど、千代の下でそうしてきた池澤は、そうすることにある意味、慣れてしまっていたのだろう。
そうするしかないと思い込んだのだ。
そして直木の次に、田中希也と尾崎莉桜も手に掛けた。
自分にとって都合が悪いと言うだけで。
莉桜は幸い助かったけど、池澤の罪は変わらない。
子どもたちへの池澤英介の人となり
子どもたちを第一に考えていた池澤。
子どもたちに優しい池澤に嘘はなかったと思う。
それは子どもたちが懐いていたし、楽しそうだったから、子どもたちにとっては本当にいい人だったに違いない。
直木の遺体を見つけてしまった子どもに対しても、否定せずに手をつないでいたし、怖がらせるようなことも、責めるようなこともしなかった。
自分の過去を隠すために人を害してしまう人物なのに、子どもにはこれだけ優しくできる。
二面性がすごい。
直木は池澤の良い部分だけを見てきたんだよね。
鳥野直木の長所は欠点になった
直木が少しでもずるく考えることができていれば、死なずに済んだかもしれない。
まず、あのとき池澤に電話をかけなければよかった。
莉桜と一緒に警察に出頭していればよかったかもしれない。
でも警察が取り合わなければ、莉桜も直木も危険だけど…。
そして電話をかけるにしても、池澤に言われるがまま、人気のない勝の家に行かなければいいものを…
池澤が知らなかったことにして、と言ったときに従うフリをして、とりあえず様子を伺って、その場を脱していればあるいは…
池澤もギリギリまで直木を手に掛けようとはしなかったから、なんとかその場を脱することはできたのではと思う。
池澤は直木が大好きだったというのは本当で、だから一緒にやってきた。
一緒に居ると直木が優しくて、よくできた人物だということがよくわかる。
池澤の罪を知ってなお、まっすぐで正しい直木は…ここまでくると池澤には疎ましく思えるのだろうね。
自分との違いに、池澤は自分に絶望するんだ。
直木はとにかく信じすぎるし正直すぎた。
いい人過ぎてそれがいけないなんてことはないはずだけど、それでも直木にはもう少し危機感を持ってもらいたかったよね。
悠衣のこともあるし、独り身じゃないんだから。
でも直木は、まさか池澤が人を殺めるとまでは思っていなかったのだろうな…。
それも、自分まで手にかけるなんて。
普通は思わないよね…
特に、子どもたちに優しく接している池澤しか知らなければ、尚更。
まったく怖い話だ。
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